科学者の転職記

科学者の社会での仕事

一応プロジェクトは回っている。否、一生懸命回している。私の目下の仕事はこの勢いを維持したまま4月からの次期メンバーに引き渡すことだ。成果は中々上がらないが、明らかに道は大きく広がりつつある。このプロジェクトは俺が去った後、ますます成長するだろう。だから絶頂に持ち上げた状態で引き継がないといけないのである。

 停滞していたプロジェクトを、何とか一通りの形に仕上げ、それが動くまでに仕立て上げた、社会不適応児の、この俺が、科学者としてカブトガニと戯れ、クラゲと戯れていた俺が、である。どうしてここまで動けたのか?ふと考えてみた。俺は何一つ真新しいことを創り出しているわけではないのだ。ただ問題点を洗い出し、それをどんどん潰しているに過ぎないのである。その手法は目新しいことだろう、寝食を惜しんで力を注ぐのだから勢いも違ってくることだろう。しかし、そこに創造はないのである。

 創造することがすごいとか、そんなことを言うのではない。科学者として、研究者から社会人となり、結局ははまるべき所にはまった気がするのである。文章力はもちろん、デザインやクリエイティブなアイデアでは、他の社員には到底及ばない。しかし、文章でも、そこの目的との矛盾や欠落点はいくらでも発見できる。先日書いたクリエイティブなことに関する内容では、俺は結局推敲役である。つまり、もう一つ言い換えれば、世の中には色々と科学者としてのスキルを活かせる仕事があるということだ。文系が主たる構成員であるこの社会において、ロジカルな思考ができる科学者は、いかなる分野においても非常に有用なのである。問題は、それを理解し、科学者を使える人間が会社にいるかどうかという点なのである。何でもそうなのだが、要は使いようなのである。

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