科学者の転職記

科学者と信奉

本日は仕事の関係で離島フェアというものに参加して県のブースでチラシ配りをしていた。県下39の離島から様々な商品を集めて県民(本島の人)に触れてもらおうという趣旨。

その会場で、ある三線屋の人と話し込んだ。三線とは、沖縄固有の三味線のような楽器のことである。沖縄では広く親しまれ、義母も楽しんでいる。さて、その会話で大きなショックを受けたのは、袋の上から三線の棹を持っただけでは質なんて分からないという言葉。実は学生の頃、とある三線屋の親父と話したことがある。その主人が言うには、彼ほどの職人になると、袋の上から竿を握れば中に入っている三線の棹の質が大体分かる、とのこと。そして私が持ち込んだ三線の鑑定を袋から出さずに行ったのだ。私は、なるほど、さすが年季が入ってくるとそうなるものか、職人はすごいもんだ、と素直に受け取った。が、しかし。今日訪れた三線屋のブースの人に言わせれば、そんなの無理ですよ、重さも形も材質も、全て一意に決まらないんですから、と言うわけだ。良い材木から切り出しても場所によって重さが変わるし、形も職人の好みによる。仕上げについても、ニスの塗り具合でどうにでも変化してしまう。つまり、仮に袋の上から竿を握って分かるのは重さくらいなもので、それで言えるのは安い輸入材木を使ったものか、高価な黒木を使ったものか、程度のこと。

自分はその当時、どうして店の主人の言うことを鵜呑みにしたのか?その雰囲気が第一要因だろう。着古した着物、飾り気のない売り場、商売ッ気のない態度。それらが彼にある種のオーラを与えていたように思う。俺はその雰囲気に飲まれ、考える力を失ったんだろう。自分と違うエリアの人間と向き合った時、更にそのエリアに敬意を持っていた場合、思考停止は容易に起こるのかも。もちろん、人技を超越した技を頭ごなしに否定するのはよろしくない、がしかし、盲信してしまうのはもっとよろしくないのだ。

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