沖縄は南城市にある中学校で、夕方の小一時間ボランティアをやっている。中間テスト対策、詰まりは補習の先生だ。今回は少し面白い余談。
帰りがけに、中庭にヤギが大小二匹のいるのを見かけたのである。周りを男子中学生が取り囲んで何やらワーワーやっている。どうしたのか、と近くにいる男子に聞いてみたら、「首輪を付けようとしてるんです」という。なるほど、一人の男子が長いワイヤーの付いた首輪のようなものを持ってグルグル走っている。それにあわせて大きい方がぴょんぴょん跳ねて逃げる。そしてそれにあわせて男子達がワーッと逃げ惑っているのである。小さい方はどうやら無事つなげたらしい。大きい方が問題である。さすがに自分の背丈よりも大きい動物を相手にすると腰が引けてしまうのだ。「もうダメ!」とうとうその中学生が投げ出してしまった。「じゃあ俺が」名乗り出た輩がいるが、やはりこの男子もグルグル追い回して、周りの男子達もグルグル逃げ回らせるだけだ。誰かが「○○呼んでこい!」と叫ぶ。「言ったけど今忙しいってさ!」その即答にブツブツ言う声が聞こえる。
その場を去る前に少し近くの男子と話した。あの二頭は中学校で飼っているのだそうだ。続けて聞けば、散歩は学校の雑草が伸びた時に食わせるために連れ出すという。世界に先駆けてこの田舎の中学校は究極のエコを実践している訳だ。いや、世界が追い付いたと言うべきか。
中学生達はまだ走り回っている。ヤギにとっても、そしてテスト期間中の中学生達にとっても久し振りの外出だ、しばらくこの騒ぎは収まりそうにないな、そう思って中学校を後にした。